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見知らぬ乗客 @0728 ソワレ




公演後、なかなかすぐに感じたことを言葉にできなかった舞台、「見知らぬ乗客」。
ブルーノ然り、ガイ然り、これは"お芝居の舞台"。
そのお芝居を効果的に見せてくれたのがアッカーマンの演出だったな、とおもいます。


では、遅くなりましたが7月28日に観劇した「見知らぬ乗客」の
レポ、感想を、少しばかりですが残しておこうと思います。



※ネタバレ有







 


にのみやさんが記者会見などでも言っていた、
「感情が分からないことが一番怖い」ということ。
まさに、ブルーノの"狂気"と言われるものはそこにありました。
「この人なに考えてるの…?」って恐ろしくなる瞬間が、舞台中にいくつかあって。
その瞬間に出逢ったからこそ、舞台が終わって振り返ったときに、
「ああ二宮和也はお芝居をしていたんだな」と実感した。
今回はアッカーマンの指導のもと、お芝居をしようと思うって言ってたよね、彼。
本当に自分の言っていたとおり、忠実に仕上げることができるから。
だから二宮和也という役者は天才だ、なんて言われるんだとおもう。


その"なに考えてるのか分からなくて怖い"っていう感情は、
さいしょの5分ですでに客席に生み出されていたんではないかと。
とにかく、ブルーノとガイの列車内での会話が、凄い。
ブルーノが次から次へと話をし、ガイにも話を迫るんですが。
愛する母親の話、憎んでいる父親の話、死ぬまでにしたいこと、
そして最終的に行き着くのが交換殺人の話。
ここのブルーノのセリフが、脈絡があるようでないんですよ。
交換殺人の話も、今思いついたからやってみようよ、
なんていう軽いノリでその日出逢った人間に持ちかけたりしてしまう。
この場面だけで、ブルーノという人間にある種の説得力をもたせた気がします。
「開始5分が勝負」、なんてパンフレットで言ってましたが、まさにその通りでした。
そしてこの段階ですでに思ったのは、
小さな会場に響く肉声が、より現実味をうむんだということ。
この雰囲気に包み込むのは、グローブ座だからできることだなあ、と。
ぴあでにのみやさんが言っていたことが少し分かった気がしました。


そして、ブルーノがガイの妻を殺害するシーン。
ここでメリーゴーランドが出てくるのですが、その使い方がうまい。
舞台は回転式のものを使っていたのですが、それをそのまま
メリーゴーランドに見立てて動かすんです。
この舞台は基本的に場面転換が多かったようにおもうのだけど、
アッカーマンの演出はそれを観客に感じさせない。
むしろ場面転換が多いことを有効利用して、緊迫感すらうんでしまう。
そこはやはり彼の凄いところだとおもいましたね。

ブルーノは、ガイの妻を、絞殺します。
つまり、生身の人間を、自分自身の手で殺すわけです。
恐ろしかったのは、ガイの妻は一度息を吹き返すんですけど、
それを見たブルーノはすかさずもう一度首を絞めに行き始末するところ。
ブルーノとガイの妻は何の接点も持ってないわけで、
つまり何の感情も抱いていない相手を殺すんですよ、ブルーノは。
だから殺すときの顔も、憎しみだとか恨みを感じ取ることのできる表情であれば、
そっちのほうが人間味がでるんだとおもうんですけど、そうじゃない。
…ただ殺すことに専念している顔、とでもいいますかね。
やっぱり何を考えているか分からないから、そこが恐ろしくて仕方なかった。

でも、殺したあとは、ブルーノの震えが止まらなくて。
自分の犯したこと、またそれがバレることへの恐れ、などが
彼の震えと呆然とした表情から伝わってきて。
だけど、隣にいた人に自分の罪がバレていないことが分かると、
震えもとまり、笑い出すんですよ。
ブルーノって実はとても幼稚で、色んな感情を表に出すんですけど、
この場面は特に、ブルーノの感情の切り替わるスイッチ、瞬間があって。
それをこの目で見たときに、「この人凄い」、と。圧倒されました。


で、その後からブルーノは自分の父親を殺すよう、ガイを追い詰めます。
もう、異常なまでの執着、というか。
それはブルーノの、ガイに対する愛情のようなもので。
憎しみと愛情は表裏一体で、善と悪は隣り合わせなんだ、
っていうのもこの舞台から伝わってくるメッセージの1つです。
わたしは、追い詰めてるときのブルーノの目に終始引き込まれていました。
優しい目を一瞬したかと思えば、すぐにキッと鋭い目線に切り替わったりするんです。
もう、その鋭い目線の恐ろしさにビクッてなったもんね><
ガイ演じる滋さんのお芝居も、素晴らしいんですよ。
にのみやさんも滋さんも言う通り、この舞台の感情移入の入り口はガイなんですよね。
あの列車でたまたまブルーノと出逢ってしまっただけなのに、
とブルーノを恐ろしく感じるのは滋さんのお芝居あってのことだと思いました。


追い詰められたガイがブルーノの父親を撃つところで1幕は終了。



2幕、ブルーノがどんどんアルコールに冒されていきます。
そして、ずっとあんな母親に育てられてきたからなのであろう、
ブルーノの孤独がガイへの愛によって痛いほど伝わってくるんです。
交換殺人というのは、お互いの繋がりが見えないから成立するものなのに、
ブルーノはガイに近づいてしまうんですよね。
会ってほしい、とブルーノに言われ、「もう会いたくない」と思っているはずなのに、
ブルーノからの頼みを断りきれず会ってしまうガイ。
つまり、ガイは心のどこかで、ブルーノを大切に思っているし愛しているんですよね。
ブルーノがお酒をこぼしてしまい、それを拭いてあげるガイ。
このシーンなど、ふたりの関係性を表す上で重要なシーンだったんじゃないかと。
でも、ガイはもう気が動転しているというか、交錯しているというか、もうガイも普通じゃないんですよ。
で、ブルーノのことを愛しいとおもったり、「俺のことを警察に話したのか?!」とブルーノに怒鳴ったり。
それでガイは出て行ってしまうんですが、そのガイに向かってブルーノが、
「僕が言うはずないじゃない!!!」と叫ぶんですが…切なかったですね。

でね、もう、ブルーノが子どもなんですよ。
舞台の冒頭から「ブルーノはああ見えて幼稚なんだな」というのは伝わってきたけれど、
もう2幕ではブルーノが完全に子どもなんです。
あんな家庭で育ってきて、きっと人間とのまともな関わりも母親以外にしていなくて、
その寂しさでお酒におぼれて、最終的には母親にも見捨てられて。
だからこそガイに対する愛情は特別なものだったんだろうとおもうけれど。
1幕ではなに考えてるか分からなくて恐ろしいヤツ、だったブルーノが、
切なくて痛々しくて、かわいそうなんですよね。
圧巻なのは、ブルーノが「ママー!!!!!」と叫び狂うシーン。
悲痛な痛みが、ブルーノの声を通じて伝わってきて、目を背けたくなって。
あれを狂気と呼ぶならそうなのかもしれないけれど、そのひと言で片付けるべき感情じゃない。
私がいちばん印象に残っているのが、このシーンでありこのセリフですね。


そして、ラストシーン。
もうブルーノはアルコール中毒でふらふら、手足もずっと震えています。
古くからのガイの友だちを前にして、「俺らは生まれたときからずっと友だちなんだよ」
なんて、まるでガイに愛を確かめるように、それも必死に。
そんな状態のブルーノを見ているのが辛いんです。
これを演じきるにのみやさんも見事だな、とおもいますけど。
で、ブルーノはガイの持っていた拳銃で死のうとして、ガイがそれを止めようと
もみくちゃになっていたところ、発砲してしまいブルーノが死んでしまいます。
そこで、「逝くな!」とガイがブルーノに、キス。
ここでやっとガイが、ブルーノへの愛情と向き合うんですね。
ここで警官が現れて、ガイがこういうんです。
「彼は言っていた。死ぬときは自殺する、一番憎いヤツに殺されたように見せかけて、と。」
このセリフは、ブルーノとガイが出逢った列車の中で実際にブルーノが言っていたセリフ。
だけど、ブルーノが自分のことを愛していたことも、ガイはちゃんと分かっていて。
愛が憎しみとなって、憎しみが愛をうむ。
救いようのないラストだけど、ブルーノが唯一、人と繋がった瞬間だと考えれば少しは光が見える気もします。





やっぱり、お芝居というものを言葉で表現するのは難しいですね。
この舞台は二宮和也のブルーノと、内田滋のガイというお芝居が交わったときにうまれる舞台だと感じます。
とにかく、にのみやさんは、凄かった。
彼のお芝居を私なんかが語るなんて安っぽいことは、できない。
彼の中でその瞬間にうまれた表情、その瞬間に発した声、それがブルーノの全てだから。



にのみやさん、アッカーマンさん、キャストの皆さん、スタッフの皆さん。
素晴らしい舞台をありがとうございました。



ブルーノという役を彼に授けてくださった方に感謝です。





*web拍手
お気軽にぱちぱちして頂けるとうれしいです☆☆











嵐[Stage*] 12:36 comments(2)
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- 12:36 -
COMMENT
raimuさん、
舞台の記事をアップして頂いてありがとうございます

今回、舞台をこの目で見ることが出来ませんでした

なのでこの舞台に触れないようにしてきたのですが

ずっとraimuさんの文章が好きだったので
raimuさんがこの舞台で見てきたもの、感じたことを
読みたくて読ませていただきました

触れていなかっただけにこんなに衝撃的な舞台だったんだ、

やっぱり二宮和也は素晴らしい演技をあの場所でしていたんだ
と沢山の感情と共に嬉しくなりました

読ませていただいて本当によかったです

たくさんの気持ちの中で一生懸命残して頂いたこの文章に
一言お礼を言いたかったのでコメントさせて頂きました

こんな言葉しか残せなくてすいません
本当にありがとうございました。
| yuka | 2009/08/08 8:13 PM |

yukaさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

レポを公開しようと思ったときも
このレポを書いているときも、
わたしの頭にあったのは
舞台に行けなかった方のことでした。
舞台に行けないのにレポに触れるのは
時に苦しいこともあるはずなのに、
わたしの言葉を読んで頂いてありがとうございます。
そういう方が、だれか1人でも、
苦しさではなく少しだけの幸せと共に
レポを読んでくださったらいいな、と
おもって書きました。

お礼を述べたいのはこちらのほうです。
このレポを読んでいただいて、
コメントまで残していただいて、
本当にありがとうございました。

また遊びにきてくださいね^^



| raimu→yukaさん | 2009/08/10 8:04 PM |









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